イ・ソンミンハンス
1968年生まれ。舞台で活躍後、『シークレット・サンシャイン』(07)で注目を集め、その後、映画・テレビに数多く出演。国民的ドラマとなった「ミセン ―未生-」(14)のオ・サンシク課長役で高い評価を受ける。『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(18)では、青龍映画賞や大鐘賞など多数の主演男優賞に輝き、演技派俳優としての名を確立した。
【主な出演作】
『さまよう刃』(14)、『群盗』(14)、『華麗なるリベンジ』(15)、『目撃者』(18)、『KCIA 南山(ナムサン)の部長たち』(19)
COMMENT
白石和彌映画監督
正義が歪み、運命も歪み、見ている観客の倫理も歪む。腹の底に溜まる粘りのある感情の出口はなかなか見つからない。それでも、どうしようもなくこの映画に惹かれてしまうのは、ノワール映画として最高だからだ。韓国ノワールはまだまだ突き進む。
入江悠映画監督
死んだ目をした人ばっかり出てくる。だから、面白い。ハードボイルド警察映画はやっぱりこうでなくっちゃ。
菊地成孔音楽家・文筆家
もう進化も天井を突いたと毎回思わずにはいられない「韓国ノワール」に、更なる進化が。血生臭さがパリとソウルを繋ぎ、今や世界でも有数のバイタリティを誇る韓国映画界の骨太さと精緻さが、どの国でも起こりうる、しかしどの国の映画界でも描けない物語を血と肉と脳で描き切る。イ・ソンミンとユ・ジェミョンの演技は驚異的。
深町秋生ミステリ作家
うわ……そこまでやるのか。久々に悲憤と殺意を凝縮した韓流ノワールの爆発的なパワーにノックアウトされた。「チェイサー」「悪魔を見た」の系譜とも言うべき怪物的な悪意にのたうつイ・ソンミンの慟哭に痺れろ。
伊藤さとり映画パーソナリティ
時が経つのを忘れ、推理と捜査を体感。韓国ノワールの魅力に取り憑かれるダークな色彩、怪しげな登場人物とキャストのラインナップ。究極の心理戦に惑わされ、震えと興奮が止まらなかった。
人間食べ食べカエル人喰いツイッタラー
容赦ない暴力と荒みまくった人間模様が織り成す濃密な130分。ぬるさ一切無しの超ハードコアなノワール。この、胃に来る重さが堪らない。タイトルの通り、観る者に噛み付かんとする野獣のような映画だ。
ビニールタッキー映画宣伝ウォッチャー
かつては信頼する相棒同士だった刑事が最も憎むべき敵同士へと変わる。権力闘争と裏切りとプライドが錯綜する極限状態で正義を貫くはずの刑事が己の”獣性”をむき出しにする。欲望に囚われた人間の無限地獄がここにある。